何時も通りやれば良いんだ。


うん、頭の中では分かっている。


でも、駄目だった。


極度の緊張で、普段通りの音が出て居ない事が自分自身でも分かる。


…おちついて…おちついて


心の中では冷静になる事を第一課題にしていたが、そう上手くは行かない。


手足も指先も、ロボットみたいな動きになってしまっている。


そして最終小節迄演奏を終えて、先生が観客席に向かって一礼する。


――終わった。


僕達の演奏は、あっけない位、短い時間で終わった様に感じた。


そして後悔。