こういう光景を見ると、複数人居るパートが羨ましくなってしまう。


僕は一人…ユーフォニュームはマイナーな楽器だから仕方ないと言えば仕方ないんだけど…


皆、教室で熱心に練習していたので、僕は声をかけるのは悪いと思って、一人で帰ろうと、そろそろと、扉を閉めた。


「あれ、保孝?」


英二が僕に気がつた様だ。


「…え、う、うん」


英二が練習を中断して教室の外に出てくる。


「珍しいな保孝、俺より早く練習切り上げるなんて」


「え、う…ん、ちょっと、たまにはね…」


「うん、分かった、今日は終わりにして帰ろう。ちょっと待ってな」


英二はそう言うと、再び教室の中に姿を消した。