不味くて泣きそうになるのを堪えつつ、タイヤパンを完食。


もう一つのパンに取り掛かる。


「なんデスか、その赤いブツブツのパンは……?」


不知火が不気味なものを見るようにパンを指差す。


確かに彼女の言う通り、このパンは表面には病的な粒がたくさんできている。


「これは『青春ニキビパン』らしい……。つまり、この赤いのは……」


口には出したくないが、そう、ぶっちゃけニキビをイメージしたものだ。


「ウェ~~、なのデス。……生理的に受け付けないのデス……」


そう言わないでほしい。今から食べなければいけない僕の身にもなってよ。


一口囓るだけでも抵抗のある外見。


しかも、厄介なことにニキビパン全体の内、味が付いているのは赤い部分だけなのだ。


だから、ニキビを避ければ、ただただ小麦粉を食べる羽目になる。


ここは目を瞑って、何とか口に運ぶ……


赤い部分を歯で押し潰した……瞬間!!


プチュ、と弾けて何かが広がる!!


「うおぇぇぇぇぇぇ!!!!」


「大丈夫か? 死にそうな顔をしているぞ」


「な、なんとか……」


危なかった……


弾けたものが苺味でなかったら、間違なく吐いていた。


とにかく、これは不味い……


さすがは負け犬が手にするパン、通称『マズパン』だ……