風紀委員の仕事をやり過ぎだと思いつつ、不知火の言うことも分からないではない。


食事の自由を校則で制限されているのは、確かに理不尽ではある。


しかし、僕らは黎明学園という組織の一員である。


その中で生活するならば、原則として守っていかなければならないことはあるのだ。


それが、食事の自給。


与えられた狩り場の中で、自力で手に入れてこそ僕らは成長出来るんだ!!


「なに悟った様な顔をしているのデスか。朝から気持ち悪いニヤけ顔を見せないでください」


……ちょびっと傷つく僕……


その時、今まで黙って僕の斜め後ろにいた穴夫が言葉を発した。


「刀矢……、敵さんのお出ましだ」


敵……って?


僕達の進行方向から歩いて来たのは一人の女性だった。


真っ直ぐに僕達の下に来たと思ったら、僕の顔を見てニタリと笑った。


「おはよう刀矢。相も変わらず苛め甲斐のある顔をしている。フフフ……」


……


女性の名前は閂 茨(かんぬき いばら)。


僕達と同じく一年生にして風紀委員長の座にいるすごいお人だ。


容姿はなんというか……夜のお仕事をしている人みたい……


綺麗なことは綺麗だが、化粧が濃すぎて学生離れした顔立ちなのだ。


ちなみに、黎明学園は食事に関しては厳しいが、その他の事には物凄く寛容なのだった。