扉に手をかけて、ゆっくりと開く。


「美海……」


広い特別室の真ん中に、大きなベッドがある。


オレは一歩…また一歩とゆっくり歩を進めた。


本当はすぐに駆け寄って抱きしめたいのに…、

最悪な状況が頭を掠め、オレの逸る気持ちを抑制する。


美海の顔を視界に捉えた時、ちょうど担当医が入ってきた。


「はじめまして。担当医の菅谷です」


日本人……?


「私は代々、栗原家にお仕えしている専属医です」


専属医…?


「私が菅谷先生をこちらへ呼んだ…彼は美海を子供の頃から知っているからな…」


「社長…美海様のことですが…」


その瞬間、体がピクンと反応した。