炎がリーグをかすめる。普通なら驚いてもよさそうだ。しかし、全く動く様子がない。リーグがおかしいと思った僕は唱えた。
「lot。」
空気がゆがみ、リーグを大きく映してくれた。望遠鏡みたいなものを創ったのだ。
理由はわかった。リーグは目を閉じている。周りの様子がいっさいわかってないのだ。自分が危険な状況にある事など、知る由もない。
「リーグ、目を開けろ。」
思わず叫んだ。しかし、これがいけなかった。
ねねはイバーエの方を見た。イバーエの叫びが、ねねの元に届いてしまった。
それなのに肝心のリーグには届いていない。
<まだ、あいつがいたか・・・。>
怯えていたイバーエの事を、ねねは忘れていた。距離は離れていると言っても、イバーエは言術使いだ。この状況で対峙しても、勝てるはずはない。
そして、感じ取っていた。流れる血の量から考えても、魔力の暴走は止まらない。それは右手から吹き出す炎も、そう伝えている。
<せめて、こいつだけは道連れにしないとね。>
覚悟を決めた。
女の様子がおかしい。僕は直感的に感じ取った。
「リーグっ。」
この声もやはり届かない。女の行動を加速させるだけだった。
女は無理矢理ナイフを抜いた。傷口が広がったのだろう。鮮血がリーグの顔に飛び散った。
リーグは、そこではじめて異変に気づく。目を開けるが、顔に付いた血のせいで、前がよく見えない。
「・・・?」
「もう、遅い。死にな・・・一緒にね。」
女は、もう女でなかった。巨大な炎の塊だ。それがリーグに襲い掛かろうとしていた。
女までの距離は、言術で様子を伺わなきゃいけないくらいだから、かなり離れていた。
たぶん、第二言でも届かない。焦りで鼓動が早くなる。
<じいちゃん・・・リーグが死んじゃうよ。>
涙が溢れてきた。
「lot。」
空気がゆがみ、リーグを大きく映してくれた。望遠鏡みたいなものを創ったのだ。
理由はわかった。リーグは目を閉じている。周りの様子がいっさいわかってないのだ。自分が危険な状況にある事など、知る由もない。
「リーグ、目を開けろ。」
思わず叫んだ。しかし、これがいけなかった。
ねねはイバーエの方を見た。イバーエの叫びが、ねねの元に届いてしまった。
それなのに肝心のリーグには届いていない。
<まだ、あいつがいたか・・・。>
怯えていたイバーエの事を、ねねは忘れていた。距離は離れていると言っても、イバーエは言術使いだ。この状況で対峙しても、勝てるはずはない。
そして、感じ取っていた。流れる血の量から考えても、魔力の暴走は止まらない。それは右手から吹き出す炎も、そう伝えている。
<せめて、こいつだけは道連れにしないとね。>
覚悟を決めた。
女の様子がおかしい。僕は直感的に感じ取った。
「リーグっ。」
この声もやはり届かない。女の行動を加速させるだけだった。
女は無理矢理ナイフを抜いた。傷口が広がったのだろう。鮮血がリーグの顔に飛び散った。
リーグは、そこではじめて異変に気づく。目を開けるが、顔に付いた血のせいで、前がよく見えない。
「・・・?」
「もう、遅い。死にな・・・一緒にね。」
女は、もう女でなかった。巨大な炎の塊だ。それがリーグに襲い掛かろうとしていた。
女までの距離は、言術で様子を伺わなきゃいけないくらいだから、かなり離れていた。
たぶん、第二言でも届かない。焦りで鼓動が早くなる。
<じいちゃん・・・リーグが死んじゃうよ。>
涙が溢れてきた。