それは空からでもはっきりわかった。
地上に墜ちてきた太陽だ。

そして、慣れとは恐ろしい。そう感じた。
僕は何も言っていない。けれど、ブリアさんはいきなり気がついた。
「もう、着く頃か？」
突然の事に、心臓が痛くなるほど鼓動が早くなる。
「ブリアさん、どうして？」
「いや、目的地に着く頃に自然に気がつくようになってしまったんだよ。もう、何十、いや何百回と嫌々乗っているうちにね。それより、イバーエ君、君はずっと起きていたのかい？」
「は、はい。じゃないと、振り落とされちゃいそうな気がして。」
感嘆の声をブリアさんはあげた。
「君はたいした若者だな。私なんか、最初の頃は何回謝りに行った事か・・・。いや、謝りに行ったって言うのは、振り落とされてね・・・。屋根に何度も穴を開けたんだ。その度に、旦那様と一緒に謝りにいったもんさ。あの頃は、そりゃ旦那様を恨んだものさ。」
聞いてもいないのに語りに入った。
「は、はぁ。」
「さぁ、もうすぐ降りれるぞ。」
流暢になっているのは、こいつから降りれるかららしい。僕は思った。