｢政府？何でそんなお偉いさんがそれこそおかしいでしょ｣
｢さあね。私には関係ないことだよ。たっぷりと金を払ってくれれば誰だろうと文句はないよ｣
｢そりゃそうだね。でも、モップは用意した方が良いかもね。きな臭いよ｣
その後、声を潜めた。
｢向こうの席で、一人で飲んでる男見たことないよ。ヤバい感じがする｣
｢明日にでも準備をして置くよ。それを飲んだら、向こうで酌をするか、歌を歌うかどっちかしといで、働かない奴に金は払わないよ｣
｢わかりましたよ｣
オウリは怒られた子供のような顔をすると、グラスの中身を一気に飲み干すとまたステージに立った。
｢さあね。私には関係ないことだよ。たっぷりと金を払ってくれれば誰だろうと文句はないよ｣
｢そりゃそうだね。でも、モップは用意した方が良いかもね。きな臭いよ｣
その後、声を潜めた。
｢向こうの席で、一人で飲んでる男見たことないよ。ヤバい感じがする｣
｢明日にでも準備をして置くよ。それを飲んだら、向こうで酌をするか、歌を歌うかどっちかしといで、働かない奴に金は払わないよ｣
｢わかりましたよ｣
オウリは怒られた子供のような顔をすると、グラスの中身を一気に飲み干すとまたステージに立った。
またオウリの歌が店に響く。
そこに聞き覚えのある単語を聞いた。
桜舞い散る世界に忘れた記憶が舞い戻ってくる
ここの国は、言語は日本語ではなくて、英語に近い。
オウリの思考を介しているせいか、言葉で戸惑うこともなかった。
ただ、歌の中のワンフレーズは私たちにとても馴染み深いものだった。
オウリ、あなたは一体何者なのだろう？
私に分かるのは、彼女が常に何か変化を望んでいるということだった。
オウリは誰も分からない、日本の言葉にいつも自分の願いを乗せていた。
忘れられないあの日に少しだけ近づけるように、私は求めるよ
求め、されば叶わん。
望むのは今とは違う未来のかけら
そこに聞き覚えのある単語を聞いた。
桜舞い散る世界に忘れた記憶が舞い戻ってくる
ここの国は、言語は日本語ではなくて、英語に近い。
オウリの思考を介しているせいか、言葉で戸惑うこともなかった。
ただ、歌の中のワンフレーズは私たちにとても馴染み深いものだった。
オウリ、あなたは一体何者なのだろう？
私に分かるのは、彼女が常に何か変化を望んでいるということだった。
オウリは誰も分からない、日本の言葉にいつも自分の願いを乗せていた。
忘れられないあの日に少しだけ近づけるように、私は求めるよ
求め、されば叶わん。
望むのは今とは違う未来のかけら
短い冬休みが終って学校が始まった。
新学期が始まったその日に風紀委員会に呼び出された。
放送で呼び出されたけど、風紀委員会室の場所が分からないから無視してたら、放課後に迎えに来られた。
｢直江桜理さんですね｣
帰ろうと思ってたら名前を呼ばれた。
顔を上げると茶髪の男の子が立っていた。
人懐こい可愛い笑顔をこちらに向けているけど、目は笑っていない。
｢お昼に放送をかけたはずなんですけどね。｣
新学期が始まったその日に風紀委員会に呼び出された。
放送で呼び出されたけど、風紀委員会室の場所が分からないから無視してたら、放課後に迎えに来られた。
｢直江桜理さんですね｣
帰ろうと思ってたら名前を呼ばれた。
顔を上げると茶髪の男の子が立っていた。
人懐こい可愛い笑顔をこちらに向けているけど、目は笑っていない。
｢お昼に放送をかけたはずなんですけどね。｣
｢そう｣
｢呼び出されたら普通来るでしょ｣
｢じゃあ、私は普通じゃないのね。さよなら｣
私は普通じゃない。
だって、神の使いが目の前に現れて、死を告げられるなんて普通じゃない。
｢帰すわけには行きませんよ。こっちも仕事なんで協力をお願いします｣
鞄の持ち手を捕まれて動けない。
細い腕をしてるのに、強い力。やっぱり男の子だね。
諦めるしかないよう。
｢手短にね｣
｢もちろん｣
｢呼び出されたら普通来るでしょ｣
｢じゃあ、私は普通じゃないのね。さよなら｣
私は普通じゃない。
だって、神の使いが目の前に現れて、死を告げられるなんて普通じゃない。
｢帰すわけには行きませんよ。こっちも仕事なんで協力をお願いします｣
鞄の持ち手を捕まれて動けない。
細い腕をしてるのに、強い力。やっぱり男の子だね。
諦めるしかないよう。
｢手短にね｣
｢もちろん｣
風紀委員会室なんてあるのも知らなかった。
東棟の二階の奥、生徒会室の隣が風紀委員会だった。
こんな日当たりの悪い場所、絶対来ない。
｢委員長連れて来ました｣
中に入れられる。
中は何か男臭い。
｢直江桜理さんだね。悪いな呼び出して｣
四角に並べられた机の一番奥に、ゴツい男が座っていた。
同じ高校生なのだろうか？
制服着てるけど老けて見える。
ブレザーの制服がスーツに見える。
それよりも何か毛深いし、
｢この熊、本当に高校生？それとも先生？｣
中にいた全員が動かなくなった。
あ。禁句だったかな。
東棟の二階の奥、生徒会室の隣が風紀委員会だった。
こんな日当たりの悪い場所、絶対来ない。
｢委員長連れて来ました｣
中に入れられる。
中は何か男臭い。
｢直江桜理さんだね。悪いな呼び出して｣
四角に並べられた机の一番奥に、ゴツい男が座っていた。
同じ高校生なのだろうか？
制服着てるけど老けて見える。
ブレザーの制服がスーツに見える。
それよりも何か毛深いし、
｢この熊、本当に高校生？それとも先生？｣
中にいた全員が動かなくなった。
あ。禁句だったかな。
｢ぷっ｣
後ろから吹き出す声が聞こえた。
｢あははは！面白い姉さんだ。生徒会も恐れる風紀委員長に熊って言ったあげく、先生と来たもんだ。思ってても言えませんよ｣
後ろの男子が大笑いを始めた。
｢直江！何初対面の人間に失礼なこといってんだ！｣
私の前に見覚えがある男子が怒鳴って来た。
でも思い出せない。
真っ黒で真っ直ぐな髪、前髪の向こうに鋭い目が見える。
この目は知ってるわ。
｢あなた誰だった？｣
後ろから吹き出す声が聞こえた。
｢あははは！面白い姉さんだ。生徒会も恐れる風紀委員長に熊って言ったあげく、先生と来たもんだ。思ってても言えませんよ｣
後ろの男子が大笑いを始めた。
｢直江！何初対面の人間に失礼なこといってんだ！｣
私の前に見覚えがある男子が怒鳴って来た。
でも思い出せない。
真っ黒で真っ直ぐな髪、前髪の向こうに鋭い目が見える。
この目は知ってるわ。
｢あなた誰だった？｣
そう聞いたら、顔を真っ赤にしてまた何かを怒鳴って来た。
｢お前は投げ飛ばした人の顔も覚えてねぇのかよ｣
｢人の顔覚えるの苦手なのごめんなさい相沢くん｣
｢誰が相沢だ！｣
また怒って来た。
｢名前知らないもの｣
名前を知らないんだから取り敢えずの名前を呼んだだけなのにそんなに怒らなくても良いと思う。
｢オレは風紀委員会副委員長の土方総司だ｣
｢欲張りな名前ね。マンガみたい｣
｢お前に言われたくねぇよ｣
｢お前は投げ飛ばした人の顔も覚えてねぇのかよ｣
｢人の顔覚えるの苦手なのごめんなさい相沢くん｣
｢誰が相沢だ！｣
また怒って来た。
｢名前知らないもの｣
名前を知らないんだから取り敢えずの名前を呼んだだけなのにそんなに怒らなくても良いと思う。
｢オレは風紀委員会副委員長の土方総司だ｣
｢欲張りな名前ね。マンガみたい｣
｢お前に言われたくねぇよ｣
｢ご両親は新撰組のファン？｣
｢あぁ、本とかドラマ見たりしてたな。中でも…。そんなことはどうでも良い！直江、度重なる校則違反の罰として風紀委員会の雑務を命じる｣
忙しない人。
話しに乗ったかと思えば、また怒鳴って。
｢いやよ。面倒臭い｣
私はハッキリと断った。
放課後は彰と猛流たちと路上ライブするんだから。
｢断ったらお前の内申書ボロボロになるんだぞ！分かってんのか？｣
｢進学しないもの。｣
｢あぁ、本とかドラマ見たりしてたな。中でも…。そんなことはどうでも良い！直江、度重なる校則違反の罰として風紀委員会の雑務を命じる｣
忙しない人。
話しに乗ったかと思えば、また怒鳴って。
｢いやよ。面倒臭い｣
私はハッキリと断った。
放課後は彰と猛流たちと路上ライブするんだから。
｢断ったらお前の内申書ボロボロになるんだぞ！分かってんのか？｣
｢進学しないもの。｣
これ以上学びたいことなんてない。
｢じゃあ直江先輩は就職希望で？｣
｢就職だって内心が必要だろうが！｣
｢しない。進学も就職もしない｣
働かなくても食べて行ける。
お父さんの遺産があるから、贅沢しなかったら一生食べていける。
｢お前！人生舐めてんのか！進学も働きもしねぇで、親の脛かじって生きて行く気かよ！｣
土方くんがまた怒鳴る。
もういないけど、土方くんの言ってることは正しい。
お父さんの残してくれたもので私は生きている。
｢親とか教師ちゃんと話し合えよ！｣
｢じゃあ直江先輩は就職希望で？｣
｢就職だって内心が必要だろうが！｣
｢しない。進学も就職もしない｣
働かなくても食べて行ける。
お父さんの遺産があるから、贅沢しなかったら一生食べていける。
｢お前！人生舐めてんのか！進学も働きもしねぇで、親の脛かじって生きて行く気かよ！｣
土方くんがまた怒鳴る。
もういないけど、土方くんの言ってることは正しい。
お父さんの残してくれたもので私は生きている。
｢親とか教師ちゃんと話し合えよ！｣
