「先に帰ろ」

芽依が私の腕をつかみ、店の外へ連れ出してくれた。

飲み直そうと気を使ってくれたけど、そんな気にはなれなくて。

私の恋心を知っている芽依を残してタクシーに乗り込んだ。

「大丈夫だから」

涙を我慢しながらそう言って、一人暮らしの部屋に逃げ帰った。

そして泣きながら、冷蔵庫の前に座り込んであるだけのビールを飲み続けた。