「いらっしゃいませっ！！お一人様でしょうか？」



「いえ…えっと…あっ！！恵クンっ！！」



「あ？」
「えっ？」



ケイ…くん…？



突然のその言葉に…



声に…



勢いよく振り返った先には…



「あっ…」



紙袋片手にヒラヒラと手を振るキレイめのスーツを着た女の人。



手を振る先はもちろん…



「おせーよ。ナナミ。」



「ゴメン、ゴメン。待った？」



「待った。」



あたしの大好きな先生。



先生の向かいのソファーに腰掛ける女の人を直視するコトが出来なくて…



「これ…勝手に…ごめんね。」



「許さねぇ。」



紙袋から取り出し、



テーブルに置かれた先生の“白衣”を直視するコトが出来なくて…



「ちゃんとアイロンかけたから…ね？」



「調子に乗んな。」



「えへっ♪」



「お前…キモい。んな顔、ハジメの前でだけやっとけ。」



学校で…



あたしの前では絶対に見せるコトのない笑顔を直視するコトが出来なくて…



唇を噛みしめながらクルッと踵を返したあたしは、



えっ…と…



こういう時って…



どうすれば…



いいの…かなぁ…



持っていたシルバートレイをギュッと抱きしめた。