「ねぇ…杏奈。」



「……」



鼻を啜るあたしの左横に膝を抱えて座り、



頭をポンポンっと撫でてきた由奈は、



はぁ…っと、ひとつ息を吐くと、



「あの後…アンタが休憩室に閉じこもっちゃった後…楢崎先生、すごく心配してたんだよ?」



ゆっくりと、優しい口調で話し出した。



でも、



そんな話…



信じれるハズもなくて…



ウソだ…



あたし、どこも悪くなかったし…



先生があたしのコト心配してくれるハズなんてないよ…



あたしは由奈の言葉をココロの中で否定しながら、抱えていた膝を更に強く抱きしめた。



でも…



結局、都合よく物事を考えちゃうバカなあたしのココロの中には、



心配…してくれた…の…?



先生…が…?



ホント…に…?



否定するココロの声とは逆に、



まだ半信半疑なんだけど、



由奈の言葉を信じちゃってる自分がいて…



“その言葉がもしホントだったら…”って、少しだけだけど期待しちゃってる自分がいて…



あたしは膝を抱きしめていた力を少しだけ緩めると、チラっと由奈を見た。