タバコを吸っていたって、一日中スロットをやっていたって、AVを観て興奮していたって、私は彼に幻滅したりしない。
私は彼自身を好いているのであって、ミーハーな気持ちで彼を好いているわけではないのだ。
妙な理想を押し付けたりしない。
学校での淳一など、ほんの一部に過ぎない。
爽やかなのは彼自身が教師を演じるために作り上げたイミテーションだ。
みんなはそれを信じればいい。
淳一の素の姿を、私は知っている。
私だけが知っている。
話すことさえ拒否されて苦しい。
茜だけにでも話してしまいたい。
知らないふりなんて、いつまでもできっこない。
そう思っていたけれど、「私だけが知っている」という優越感があれば、もう少し辛抱強くなれる気がする。