雄二はそう言って笑った。
私は寂しくないのかと問われているような気になった。
私だって、寂しくなるに決まっている。
私はズルい。
雄二が私を大事にしてくれているのをわかっているくせに、いつまでも淳一のことを気にしている。
ドラマやマンガでこんなに優柔不断なキャラクターがいたら、間違いなく嫌いだと思うだろう。
「もう卒業だから白状するんたけどさ」
雄二が唐突にそう切り出した。
「え、何?」
白状と言うからには何か隠し事を打ち明けるつもりなのだろうけれど、彼にやましいことがあると考えたことはなかった。
「俺、前に奥田先生と二人で、さくらのこと話したんだよね」
「えっ……」
驚きのあまり視界が揺れた。
淳一と雄二が知らないところで繋がっていたなんて、思いもしなかった。
いつ? どこで? なぜ?
いろいろ尋ねたいのに、動揺で言葉が出ていかない。
「奥田先生っていい人だよな。俺、たぶん失礼なこともたくさん聞いたけど、全部まじめに答えてくれたよ」
「どんな話をしたの?」
雄二は「ははっ」と笑ってごまかした。
気になるけど、詳しいことを教えてくれるつもりはないようだ。
「話す前はさ、関西人のくせに標準語でうさんくさいなーとか、大学生とはいえ成人男性が女子高生に手ぇ出すとかロリコンなんじゃねーのとか思ってたんだよ」
彼の言葉に、思わず吹き出す。
「まぁ、わからなくはないけど」
「でも話してみたら、さくらのこと真剣に好きだったんだって納得した。教師になった今でも、さくらの幸せを願ってるってわかった」