担任は他にも、結局この一件が職員会議では報告されなかったことや、メールを読んで校長に報告した事務の人と校長室に呼ばれた人間にしか知らされていないことを話してくれた。

悪い方向にばかり考えていたけど、今回ばかりは神様が味方をしてくれたようだ。

「そろそろ学校来いよ。奥田先生も心配してたぞ」

「奥田先生が?」

「ああ。椿が何日も休んでいることに気が付いていたみたいだな」

淳一が、今でも私を気にかけてくれている。

私は余計に泣けてきて、上手く口を開けない。

明日からは学校へ行こう。

そう決心して、何度も頷いた。

「前に、模試の結果が散々だったことあったよな」

「はい」

「あの時の試験監督、奥田先生だったんだよな」

「……そうです」

「俺の考えは妄想じゃなかったな」

担任がそう言って不適な笑みを見せる。

「先生の考え?」

何か言われたような記憶はあるが、もう何ヶ月も前のことだから何を言われたのか思い出せない。

「教室に失恋相手がいたから成績が落ちたってやつだよ」

「ああっ! 言われた!」

そして慌てて否定して、余計にいじられる羽目になったのだ。

「まさか相手が教師だとは思わなかったぞ。俺もまだまだだなーははは」

私の失恋を面白がらないでほしい。

でも、担任が面白がってくれるおかげで、私もネタとして笑える。