中野先生に支えられながらボロボロ泣いた。

泣くしかできなかったのだ。

そんな自分が情けなくて、無様で、恥ずかしい。

消えてしまいたい。

私なんか、初めから存在しなければよかった。

そうすれば、淳一は罰を受けずに済んだのに……。

「入って。今日だけ特別よ?」

落ち着かない私を見かねた中野先生が、女子職員控え室へと入れてくれた。

「いいんですか?」

「いいのよ。今は誰もいないし、生徒を連れ込んじゃいけないルールなんてないもの」

彼女は冗談っぽくそう言って、温かいコーヒーを淹れてくれた。

学校の自販機で売っている缶入りのものとは違う香り高いコーヒーを口にすると、ますます自分の幼さを思い知る。

「落ち着いた?」

首を横に振る。

涙が止まっても、心は落ち着かない。

「大丈夫。奥田先生はいい先生だし、厳しい処罰なんて出ないよ」

「でも、私のせいです」

「椿さんのせいじゃない。運が悪かっただけよ」

中野先生は慰めてくれているのかもしれないけれど、私の荒んだ心が彼女の言葉を曲解する。

運が悪かった。

つまり私は疫病神。

「私、学校辞めようかな」

そうすれば、淳一が罰から逃れられるかもしれない。