淳一が私を制止する大きな声が部屋中に反響した。

焦りや不安で全身に汗をかいていることに気づく。

気持ち悪いけれど、そんなことに構っていられない。

「どうして止めるの? 私を庇うつもりなら……」

「違う。全部俺が悪いねん」

どうして?どうして?

頭の中は、そればかり。

「わけわかんない! 本当に何もしてないのに、何かしたって認めてるみたいじゃん」

「俺らの間に何もなくても、女子生徒が部屋に入るのを許した時点で学校にとっては大問題や。個人的な知り合いとはいえ、学校の信頼を失うに値する。俺の落ち度や」

そんなわけがない。

淳一は何も悪くない。

「意味が全然わからないよ」

やりきれない気持ちが、涙となって溢れ出す。

「奥田先生についてはこのあと校長先生と競技したのち、今夜の職員会議で職員への説明、および処分の発表をします」

「ご迷惑かけて申し訳ありません」

淳一は座ったまま深々と頭を下げた。

彼が甘んじて受け入れた理由が、私にはさっぱりわからない。

中野先生に促され、泣きながら校長室を出た。

淳一は何も悪くないのに、それを証明することができなかった。

己の力のなさが悔しくて、涙がなかなか止まらない。

あまりに腹立たしくて、校長室の窓ガラスをすべて割ってやりたい衝動に駆られる。

不良少年が破壊行為を行う気持ちが、よく理解できた気がした。