想像していた最悪の事態へと向かっていることに気づく。
「ちょっと待ってください!」
私はそう叫び、立ち上がった。
口と体が、勝手に動いていた。
「椿、座れ」
担任が宥めようとするが、従ってなどいられない。
だってこのままじゃ、淳一が。
「考えるって、何を考えるんですか?」
私の問いに、理事長がさらりと答える。
「処分を、です」
想像通りの回答を聞いて、私の頭に余計に血が上った。
「わけがわかりません。奥田先生は処罰されるようなことなど何もしていないじゃないですか!」
どうしてそんなに、淳一を悪者にしたがるの?
「女子生徒を家に連れ込んでいます」
連れ込むなんて人聞きの悪言い方、本当に頭に来る。
この人が学園を守る立場の人であることは理解しているつもりだ。
学園を守るためには、女子生徒に手を出すような不良教師をどうにかすることも必要だろう。
だけど、淳一は違う。
違うのに。
「体調の悪い先生の意思を無視して、私が勝手について行っただけです。処分を受けるなら私のはずです!」
「さくら!」