「確かに」と頷く担任。
理事長と校長の言うことは、もっともだと思う。
だけどまだ、私のお節介だと言い張ることはできる段階だ。
というより、事実あれは、私のお節介だったのだ。
背筋を伸ばして堂々としていた淳一が、「フッ」と笑いを漏らした。
「時間がもったいないので、まどろっこしい言い方はやめましょう。つまりお二人は、僕たちが……いや、僕が、彼女に淫行をはたらいたことを疑っていらっしゃる」
「はは、そこまでは……」
校長が焦ったように宥めるが、「言っていない」とは言い切らない。
理事長は無表情のままだ。
淳一は構わず続けた。
「しかし、あの日我々の間に何もなかったことを証明することは難しい。不可能と言ってもいいでしょう。同時に、何かがあったことを証明するのも、ほぼ不可能です」
理事長が冷徹に返す。
「ですから、悪い方を疑うわけです」
ぐ、と大人たちが息を飲む音が聞こえた。
私も淳一も中野先生も、事実を話したし、話だって一致している。
なぜ信じてくれないのか、私には理解できない。
「そうなると彼女は、卒業までずっと、僕との関係を疑われて我が校に通うことになりますね」
それはあまりにも不憫なのではないか。
という服音声を聞き取った大人たちは、再び息を飲んだ。
「彼女に助けてもらった恩を、仇で返すのは不本意です。ですから、隠していたこともすべて正直にお話します」
淳一の言葉に、私を含む全員が喫驚した。
各々が漏らした声で、張り詰めていた校長室の空気が揺れる。