「なかなかの画質だったけど、スマートフォンで隠し撮りしたものだと思う。撮られたのはあなたと奥田先生だけじゃない。私と部屋から出るところも、写真に撮られてた」

心臓が壊れそうなほど強く鼓動している。

その衝撃で視界と脳が揺れている。

向かっている先が校長室だとわかって、これから起こることに想像がついた。

「つまり、私と奥田先生は、これから校長先生に責められるわけですね」

どうしよう。

どうしよう。

「……実は私、先に呼び出されてあの日の話をしてきたんだけど」

「えっ」

「あなたたちの不利になるようなことは話してないから安心して」

「中野先生……ありがとうございます」

正直に言うと、もしかしたら私たちのことを漏らしたのは彼女ではないかと思ったりもした。

私は彼女のことが好きではなかったから、そう考えてしまったところもある。

狭心で浅はかな自分を、密かに反省する。

校長室の前に到着すると、固い顔つきの淳一と担任がいた。

「奥田先生……」

彼の顔を見ると泣きそうになってしまった。

泣いたりしたらダメだ。

悪いことなんて何もしていないのに、そう思わせてしまう。

そんな私に、淳一はニコッと笑顔を見せた。

「大丈夫。心配すんな」

そして淳一自ら校長室のドアを叩く。

「どうぞ」

奥からの応答が、やけに小さく聞こえた。

「失礼します」