駅を利用する時間がいつもと違うからか、いつもの駅が違って見える。
改札を抜け、エスカレーターでホームに降り、次の電車の時間を確認して椅子に座った。
線路を挟んだ向かい側のホームで、まもなく電車が来る旨のアナウンスが流れる。
ベンチに座って到着を待つ人々が列に並ぶ中、ひとりの男性がベンチに座ったまま、眠ったように俯いているのが見えた。
スーツを着ているようだが、お疲れなのだろうか。
などと考えていると、電車が到着し、ホームの様子が見えなくなった。
彼はちゃんと乗車できただろうか。
なんとなく気になって、発車した電車が去っていくのを待つ。
最後の車両が目の前を通過。
彼は案の定、まだそこにいた。
しかし眠ってはいなかったようで、首をさすりながら苦しげにゆっくりと頭を上げた。
顔が見えた瞬間、私は思わず息を飲んだ。
お疲れの彼は、なんと淳一だったのだ。
「じゅん……!」
どうやら彼も学校を早退したらしい。
線路を挟んだこの距離でも、見るからに具合が悪そうだ。
彼のあんな顔は初めて見た。
私には気づいていないようだが、ベンチから立ち上がって電車にすら乗れないほど辛いのだろうか。