秋になって、雄二との関係以外にも様々な面で変化があった。
例えば学校では、朝の挨拶のメンバーが変わり、毎日淳一の顔を見ることがなくなった。
受験に向けて学年の雰囲気が勉強第一に変わって、拓也を含む3年生は昼休みにバスケをすることもなくなった。
それを観戦することもなくなったため、私は滅多に淳一を目にしなくなった。
真面目な進学校の生徒である私たちは、受験生ともなると昼休みも勉強に費やす。
「さくら、この問題の解き方教えて」
「うん。でも先に、この英文の意味を教えてくれる?」
私は得意な数学を教え、苦手な英語は茜が教えてくれる。
物理は雄二が教えてくれるし、古文は拓也が教えてくれる。
各々ギブアンドテイクで協力し合い、厳しい大学受験を乗り越えるのだ。
いつも不思議だなと思っていたのだが、毎年この時期、わが校の3年には、カップルが急増する。
部活を引退し、体育祭も終わり、恋愛できる時間が増えるからだろうか。
同じ学校の3年同士なら、一緒に勉強することすらデートになる。
実際、私と雄二もそのように過ごすことが多い。