団旗係に配属されたのは10人。
「それじゃあ、まずはデザインの案を出し合おうか」
男女入り交じったチームを、リーダーシップのある茜が仕切る。
赤組ということで、赤色にちなんだ案がメンバーから出される。
昨年は赤字の布に黒と白で龍を描いたカッコいいデザインで、一昨年は情熱的なバラを描いた美しいデザインだった。
今年はどうか。
勝利を意識した躍動的でカッコいいものが体育祭らしい。
しかしそれでは昨年とかぶってしまう。
炎はどうか。
フェニックスはどうか。
絵はなく、文字でデザインするのもいい。
「今までにない印象的な旗にしたい」
というチームの共通認識があるのだが、無意識にこれまでに見てきた旗のイメージを踏襲してしまうためか、どの案も卒業していった先輩たちが作成したもののリバイバル感が否めない。
「ダメだ。私たち、頭固くなってるね」
「今までにないって、難しいな」
「もう俺らもあんな感じでいいんじゃね?」
「諦めるの早いよ。もっと考えてみよう」
話し合いに詰まっていた頃、私たちが使っている教室の扉が開いた。
現れた人物に歓声があがり、私の顔が引きつる。
「きゃあー! おっくん!」
「おっす。進んでるか?」
なぜ淳一がこんなところに来たのだろう。
まさか、まさか……