「上の二人ははよ帰りたいって泣いとったわ。でも心春はずっとここに居りたいって泣いとった。結局、心春だけ冬休み中ずっとここに残ったんやで」


視線をおばあちゃんに戻すと、目の淵に涙が浮かんでいるのが見えた。



「ばーちゃん救われてたん。じいちゃんが死んだ時、心春が居ってくれて」



あたしが過去に一度ここに来た理由は、おじいちゃんの葬式。

あの人はそれ以上あたし達をここに連れて来させなかったから。




「“心春がいなくなったらばーばが泣く”帰る間際に、心春が言ったん。それ聞いたとき、もう泣いちゃおれんなって想ったんよ。」



あたし・・・そんなこと言ってたんだ。

おばあちゃんの口から聞く自分の過去に、度々驚いてしまう。

自分の気持ちに素直に泣くことも、正直に笑うことも、それはきっと幼い幼い頃だったんだろう。