「あたし、昔ココに来たことがあるんだよね?」


これ以上のことを聞く権利はあたしにはないと思い、会話を変える。

これもあたしが聞きたかったことだ。

ずっと聞こうと思ってたのに、いつもいつも聞き逃していた。



「あたしって・・・どうゆう子だった?」
「今と変わらんまま、おえてんばで迷子になるとことか変わっちょらへん」
「そ…そうかな…?」




おばあちゃんの表情は先程見せた悲しそうな顔ではなく、優しい表情に変わっていた。まるで思い出を懐かしむような微笑みを浮かべて。


「嫌なもんは嫌、好きなもんは好きってゆうやろ?」
「それってただのわがまま・・・」
「そういえることも大切やで。」


おばあちゃんみたいな人はどこにもいなかった。

自分の意思を通そうとすればするほど、回りはあたしを貶した。

わがままや、自己中で片付けて「もっと周りに目を向けなさい」といった。

周りを気にし、自分の心を隠して嘘もホントもわからない他人の意見に従う、そう生きてゆくのがあたしにとって苦痛だった。

だけどおばあちゃんはそんなあたしを認めてくれる。

あたしはきっといろんなものから、
今、救われてるんだ。