「さっき出てったきりまだ帰ってきてへんよー」 リキのお母さんは優しく笑って言った。 あたしはお礼を告げて家へ少しの距離を歩く。 ──今だったら、云えたのに。 どうしてだろう。 もう二度と、リキに会えない気がした。 握り締めたままの瓶を見つめ、止まったばかりの涙がまた溜る。 それを堪えて玄関を開けた。