油断なくあたりを見渡すが、周りの客はそんな彼を気に留める様子もない。


──どこだ?


背筋を這い上ってくる、邪悪な気配。
幾度も幾度もかいくぐってきた刃の鈍光。


だが、聴覚への違和感以外、彼へのダメージは認められなかった。


──一体、何が起こっている?