不愉快な二人組が立ち去った後、漸く彼は不自然な体勢をやめ、歩き始めた。
解放された肉体の、歓喜の躍動が心地よかった。


あてはない。
今のところ目的も。


前にもこんなことがあったような気がする。
ただ、あの時はこんなに曖昧な感覚を味わうことはなかった。
むしろ、灼けつくように烈しい使命感に支配されていた。


彼は歩いた。
自分のやるべきことを求めて。