『さっきはおおきに』


老婦人は微笑んだ。


『ほんでもな、さっきのオッチャン、悪う思わんとってあげてな?』


訝る彼に頓着なく、老婦人はシャベる。


『根ぇは悪うないんよ。ほんでも阪神があんなんやさかいな、気ぃ立ってたんやろ。あのオッチャン十三で商売やってはったんやけど、この不景気でアカンようなってもうたんよ。みんな一緒や。苦労してはんねん』