レオンは皆が止めるのも聞かずに荒々しくうねる波に飛び込んだ。
(くそっ!何だよこの海!ゼウスの所までたどり着けねぇ!)
「ゼウス!待ってろ!待ってろ!!」
「おっ ぷ!お兄ちゃっ…ごぼ!ふっ!がほっ」
「ゼウス!待ってろっつってんだろ!死ぬんじゃねぇ!」

やっとゼウスの所までたどり着き船に運んだときにはもう…遅かった。
「はぁ…はっ。っくそ!なんで死ぬんだよ!何で!待ってろって…待てなかったのか?…くそぉ―――――!!」泣きながら叫んでいた。


「俺はあいつを助けられなかった…。俺がもっと早く行っていたら。俺が……。」
皆哀れに思ったが誰一人として声をかけることが出来なかった。
その時リリが人工呼吸をし始めた。
「そんな事やったって無駄なんだよ子豚ちゃん。俺がこ、殺しちまったんだから。」
「うるさい!自分のせいばっかりにするな!後はあたしが…やる!だから心配するな!」
「…こぶ、リリ…。」
リリの人工呼吸のお陰で次第にゼウスは息を吹き返した。
「リリ!やった!生き返ったんだ!お前天才じゃねーの?」
と言うとギュッとリリを抱きしめた。リリは笑っていた。
息を吹き返したのももちろん嬉しかったが、なによりリリと呼んでくれたのが嬉しかったのだ。