あたしは自分の席から窓の外に目をやり、ヒラリ、ヒラリと降る桜の花びらを見てボーっとしてた。


前の席に座る羽鳥は机に突っ伏して、寝てるのか起きてるのかわかんない。


千秋に“負け犬”なんて言われたせいか、朝からずっとこの調子。

もう4時間目の授業だ。

あたしはあくびを噛み殺しつつも、日本史の教科書に目をやる。



窓から入ってきた春風に、教科書がパラパラと捲れる。

並んだ四角い文字が流れていく。


この授業が終わったら昼休みだから、苺ミルクとクリームパンを買って、はーちゃん達と食べよう。

なーんてのんきなことを考えていたら。



ヴーヴーヴー。

ポケットでケータイが震えた。

あわわわわっ。