声がした方にチラリと目線を移すと、千秋がこっちを見ていた。

しかも、口元は笑ってるのに目は全然笑ってなくて、だけどいつものクールフェイスは崩さない。



「お、おは……」
「「ぎゃああああああー!!」」


あたしの声は、千秋に押し寄せる女の子たちの悲鳴のような歓声に掻き消されてしまった。


相変わらず、すごい人気……。



「朝からバカ王子の顔見るとは、胸クソわりぃー」


そんな千秋に羽鳥は忌々しそうに舌打ちすると、ツーンとした顔を向ける。


な……なんか嫌な雰囲気?

と、思ったら千秋が「フッ」と笑って羽鳥に冷たい視線を送る。


そして。



「負け犬」


氷のような笑みを浮かべた。

あまりの一言にヒヤヒヤしたあたしは羽鳥の方を見ると、眉間にシワを寄せていた。



「てめぇ……誰が負け犬だ!」

「お前以外に誰がいんの?」


うひゃああああ。