振り向いた顔に風を感じた。
同時に身体が揺れる。

「真……、奈?」

呼び掛けると、真奈はよろよろと後退して壁にぶつかったあと、その場に座り込んだ。

「あ、あんたがいけないのよ」

意味の分からないことを言う真奈の手が、赤く濡れていた。

廊下のガラスで怪我をしたのかもしれない。

「真奈、怪我したの?」