駅から駅えと移動し、山が見えたら歩き出す。最終的に海を渡り…たどり着いたのがこの“琉運島(るうんじま)”。都会から引っ越してきた山並美憂(やまなみみゆう)は、絶望するばかりだ。

『田舎だ…。』
ついついこんな言葉が出てくる。
今までの友達、彼氏、先生に別れを告げ来たにしては酷すぎる。
もともと体の弱い母親が風邪をこじらせてしまい最終的に自然に囲まれたいと言い出しこの島へ来た。
母親のため。そう思ってはいたが若干薄暗く、狭いこの島でやっていく自信がなかった。