「わぁっ……」



続いて目に入った光景にユノは思わず感嘆の声をあげた。




目の前に広がるのは美しい薄紅色。





一際大きな桜の樹が、小さな広場に花びらを舞い散らせていた。








「……綺麗だろ?ここに毎年来てるんだ」



ブロードはそう言うと、見とれるユノの手を引き更に樹に近付く。



それからそれの真下まで来ると、ポチを腕に抱いたまますとんと座った。




反動で揺れた蒼い髪が、薄紅色の中でさらりと落ちる。




離れてしまった手にユノは少しだけ胸がきゅんと寂しくなった。





だが、それの意味は今の彼女にはまだわからない。






そんなユノもブロードから少しだけ距離を取り腰を下ろすと、上を見上げて桜を眺めた。