突然、どこからともなく、聞き覚えのある声が耳に飛び込んできた。



私はキョロキョロと辺りを見回す。


けれど、目の前にいるアロ以外誰もいなかった。



その声に対して独り言のように、アロが返事をする。




「でも、美由さんは僕らの大切な姫君だ。いつか話さなくちゃいけないことくらい、解っていただろう?」

「何も今日でなくても良かろう?」

「早いか遅いかの違いだ」


「フン。だからお前など出したくはなかったのだ」

「いいじゃないか。僕だって初めて美由さんに会ったんだ」


「……まぁ、いいだろう。だが……」

「……わかっているよ」




だが……



でしゃばった真似をするな―