親がいない今、買ってきたお酒。

こういうときにしか飲めないから、と買ってきたのだ。



私は靴を脱いでリビングへと入る。

テーブルに置いたビニール袋の中をアロナイヤが覗き込んだ。



「お酒だよ。アロも飲む?」

「おい、アロってなんだよ。省略するなよ」

「だって長いんだもん」


私は笑いながらソファーに腰掛けた。

そしてお酒の缶を一つ手に取った。


「吸血鬼はお酒飲んだら、また倒れちゃうかな?」

「俺は大蒜と、十字架と、強い太陽の光以外大丈夫だ」


「あまり大量に飲んじゃ駄目だよ?」


缶を開けると、アロに手渡した。


アロはお酒を知らないようだった。

だからきっと飲んだこともないだろう。