「ちょ、調子乗りすぎ!」


そう言ってアロナイヤを遠ざける。


「……ちぇっ」




そのとき、今まで気にも留めていなかった、アロナイヤの右頬に付いている赤い十字架の模様がふと気になった。


吸血鬼というのは、みんな付いているのだと勝手に思っていたが、吸血鬼というのは大蒜が弱いのは今わかったけれど、十字架も弱かったはずじゃ……。




なのに何故、十字架の模様が顔に彫られているのだろうか。





「ねぇ、今更だけど、この十字架の模様って何?」


「えっ。これは、その……と、特に意味はないんだ」