部屋に入ってきたのは解っていたけど、あえて反応しなかった。



「美由……。痛かったのか?」



部屋に入ってきてから間があったが、アロナイヤが美由にそう尋ねた。


表情を見てなくても、なんとなくわかった。




もしかして、心配してくれているの?





「違うよ。……心配しないで?」




私はアロナイヤに一瞥(いちべつ)もくれずに答えた。





ごめんね。


もしかしたら、いつか私は



血を与えられなくなってしまう日が来るかもしれない。






無理矢理姫にさせられたというのに、いつの間にか、こんなにも心を開いていた。