アロナイヤが刃を抜き、傷口を舐めた。



「痛かったか?」


口元についた血を拭いながら訊いた。




痛くなかったと言えば、それは嘘になる。


こんな経験など今までにないし、怖くて痛くて仕方なかった。




「ううん。大丈夫。……私、ちょっと寝てくる」


「今起きたばっかりだろ」



アロナイヤが少し馬鹿にしたように笑う。


私も同じように笑い返したが、うまくできなかった。