「わからなくもない…、だが溺れすぎでは彩に批難がいくよ?」

これは、黒麗よりの忠告…青を持えない黒麗が、忠告するのだ。


中身は、彩の心配だとしても…。


目をパチパチと数回瞬き、次いで白夜はうっすらと嘲う。


その笑みは狂気を孕むような、笑みだった。


「ふっ…ハハハ!彩が俺に媚びを売り、愛すと誓うのなら、国ひとつくらい安いものだ」

その言葉に、含まれるもの。
栄達も黒麗も、まさに呆然と立ちすくむしかなかった。


そして白夜は一言鍛練してくると栄達に言い、執務室を出ていく。


「朱雀王さま…私は耳が遠くなったようです」

「ああ…、僕もだよ」

「朱雀王さま、あの姫は…破滅をもたらすのかもしれません…」

栄達と黒麗の会話が行われている執務室というのも珍しいだろう。



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