没頭している彩を見て、口喧嘩を終えるふたり。


地位が高いだけに、このふたりを止める人などおらず、ふたりで舌戦を繰り広げていた。


「彩…そうだ、彩のあの髪紐どうやってつくるの?」

シュシュの事だ。
話題を変える様に黒麗が話す。


「布を筒状にして、ゴムを入れるのが、基本ですかね?」

「あのキラキラしいのは…?」

「えと…どうやって作るかわかりません…」

ビーズをどうやって作るかなんて知らない、材料すらわからない自分が少しだけ情けなくなる。


日本の政治の詳しい事だって知らない。


これは恥ずかしい事だ。


「そうか…また改良してみるしかないけど、出来れば雀国の工部に来てほしいんだけどね」

「工部にですか?」

「工部が大元だからね、物作りの」

「そうなんですね」

(工部…なになに科みたいな感じ、被服科とか)


「黒麗さま、リボン白と黒どちらがいいですか?」

「白だね」

正装には色は事細かに決まっているが、普段着はそうでもないので何色でもいいのだが、どこかに赤系を入れた方がいいだろう。


「白に赤の刺繍でも入れましょう」

刺繍なんて初挑戦だけど。


「したことあるの?」

「ナイです!」

「お針子かそうか?」

「本当ですか!」

パアと笑顔が広がる。
それを見た白夜は、きゅっと眉間に皺を寄せる。


「いいよ、彩の手がボロボロになるよりマシだよ?」

「えっー!そんな事しませんよ!」

そんなに刺さないはずです。
小学校の頃は家庭科クラブでしたから。
クレープ美味しかったなあ。


「あ!もうお昼ですよ…えっと、4時頃また黒麗さまのお部屋に伺います。失礼します」

スカートの裾をチョンと持ち上げ腰を落とす、白夜の前でも一礼して、忙しそうに出ていく。


「どこに行ったの…」

「牢屋」

投げやりに答えた、白夜に黒麗は彩が帰ってくるまで白夜で遊ぶ事に決めた。



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