不安で胸が掻きむしられそうで、朱美は何度も大きく息を吐く。




コルクボードには、トーイとの想い出が、所狭しと貼られている。


ぼんやり蝋燭の明かりがそれらを照らす。



沖縄に旅行した時の飛行機のチケットやら、トーイと常連で通う「music stock Cafe」の名刺やら、クリスマスに買ったシャンパンのコルクに、トーイが書いた二人の名前と日付…


朱美に似てない似顔絵も…



見ると一瞬にしてその時の状況が鮮明に蘇る。


それ程、トーイと過ごした日々は、朱美にとって大切で大切で、何にも変えがたい存在なのだ。