蝋燭のオレンジ色の温かい明かりと、焚かれたお香の甘いココナッツの香りと、煙りが漂う部屋で一人、朱美は体操座りをしながら宙を見つめていた。




煙草の煙りを嫌う朱美も、お香の煙りには包まれたって構わない。



大好きなレコードに針を落とす。



サイモン&ガーファンクルの「アメリカ」がゆっくりと流れる。




中古レコード屋で、買ってきたもの。




朱美は、乱雑に詰まれたレコードに目をやる。



大好きなトーイと二人で漁ったレコード達…


朱美の頬に、一筋の涙が伝った。