何故神様は、命あるものに限りを与え、更にその命が段々と衰える様にしたのか…



愛子が言うように、ずっと若いままで居られたら…



例えば、ずっとこの若い状態が80年続いて、老いが無い世界だとしたら…




それで「最後には死」を迎えなきゃいけないのは、やっぱり唐突だし無理がある。


まるで、突然故障するロボットだ。




それに、ずっと今の様に若いままで死を迎えるなんて人生なら、余計に死ぬ事に恐怖感や抵抗を覚えるんじゃないか?



段々と、老いを迎えるから、死ぬ覚悟が出来ていく。





優しさなんじゃないかな。神様なりの。





朱美は真っ青な空を仰いだ。




「もう死ぬんだ」って覚悟が出来る様に、神様は、生命の誕生を造ったのよ。



朱美は一人呟く。




全てを受け入れなければ生きていけない人生に、戸惑いは隠せないのだ。