「だからさ、どう生きるかじゃない?幾つになろうとさ、楽しんで生きてるなら"老い"を理由に死ぬ必要性も無いし。だいたい、22歳で大人の色気と若々しさを兼ね備えて満足とか早過ぎだよ。全然大人の色気はまだ足りないって!!」

朱美はさっさとコーヒーを喉に流しこんだ。


カップについた口紅が、大人になったなぁと感じさせた。



「う〜ん…でもなぁ…あたしは若々しさが無いのが嫌やの。どんなに綺麗にしたって、オバサンには違いないじゃない。あ〜考えるだけで恐ろしい…!!」


まるで不吉な出来事が起きるかの様に、大袈裟に怯える愛子。



(これは何言ってもダメだなぁ…)

朱美は溜め息まじりに背伸びをした。



「今の若さが永遠なら良いのに。ずっと綺麗で居られたらあたし死なないし。」


愛子は、ぐちゃぐちゃになったケーキをすくい、口に運んだ。

その姿を見て朱美は、とても下品だと思った。


(何が綺麗にしたいんだか…)

品の無いガキは目の前の愛子も同じだ、と心の中で呟いた。



どこか満足気な彼女に、自信喪失する様な事が起きればよい。なんて意地悪を思った。



そしたら、愛子は死んでしまうな。