あたしは、周りをキョロキョロと見回した。


当然、誰もいるわけなく、ちょっと怖くなった。


そして、もう一度…


「俺と…美里の歌、楽しみにしてるから。」


俺と美里?


あ、わかった。


「拓海くんだね。」


見えないけど、頷いてくれたような気がした。


ついに、あたしも霊感が強くなったか。


…じゃなくて。




あたしの歌が、空に―拓海くんに届けばいいな。


「続いては、エントリーNo.7番 早瀬結莉さん―」


拓海くん、笑わないでねー。


「よしっ」


あたしは、舞台へ出ていってた。