「お願い……。私に瑞樹を返して?」



さっきまで笑顔だった元カノの目に光るものが見えた。


泣いてるんだ……。



「おねが、い……」



辛そうな顔をして私を見上げる元カノは、私の両腕をガッチリ掴んだ。


私は首を左右に振りながら後ろに下がろうとするけど、両腕をガッチリ掴まれてて下がれない。


怖い……。


体中を恐怖心が駆け巡る。


助けて……。


周りにいる人は見て見ぬふり。


コソコソと何かを話ながら、私達をチラチラ見ながら通り過ぎるだけ。


全身が震える。


恐怖で目に涙があふれてきた。