「君は……星羅の何が気に入らなくて別れたんだ?」
「星羅のことは愛してましたよ。
結婚も考えてました。
気に入らなくて別れたんじゃなくて、信用出来なくなったから別れたんです。
信用出来なくなったら星羅に対する愛もなくなっていったんです。
それが別れた理由です」
「信用って……。うちの星羅が君を裏切ったのか?」
星羅の父親は少し怒った口調で言った。
本当のことを言っていいのか?
星羅が今までしてきたことを言っていいのか?
「そうですね……。そういうことです」
星羅の父親をチラッと見ると、肩を少し震わせてる。
「君は!うちの星羅が全て悪いと言うのか!」
大きな声で怒鳴る父親。
周りの客が一斉にこっちを見た。
「そうとは言ってませんよ。ただ星羅に裏切られて信用出来なくなっただけです。誰が悪いとか悪くないとか関係ありません」
俺はそう言うと、冷めたコーヒーを飲んだ。