「瑞樹?ゴメン……怒った?」



さっきまで強気だった星羅。


でもまた弱々しい感じになった。


強気になったり弱々しくなったり忙しい女だな。



「………」


「私のこと……嫌いに……ならないで……」



星羅の鼻を啜る音が聞こえる。



「嫌いにもならないけど好きにもならない。もう無理なんだよ!迷惑なんだよ!頼むからわかってくれよ!」



俺は振り向いてそう言った。



「いや……私は、瑞樹がいないと……生きて……いけない……」



はぁ……。


俺の口から溜め息がもれた。


ホントにストーカーみたいだな。


そんなこと言って、俺がまた戻ると思ってんのか?


頭が痛い……。



「そんなこと言われても困るんだよ」



そう言って、俺は再び歩き出した。



「………私!私、死ぬから!瑞樹と寄りを戻せないんだったら……死ぬから!」



もう……疲れた……。


星羅のワガママには付き合ってられないんだよ。


星羅のことは好きじゃないんだよ。


愛してないんだよ。


わかってくれよ。


俺は何も言わず、振り向かずに校舎の中に入って行った。