結局、メモ帳は見つからなかった。
教室にも落ちてなくて、クラスの皆も知らないと言ってたみたい。
「また俺が探しとくから、今日はもう早退しろ。なっ?」
『……うん』
阿川先生の言葉に、私は俯いたまま頷いた。
「じゃあ、行こうか?送って行くから」
私は鞄の中から違うメモ帳を取り出した。
『1人で帰れますから大丈夫です』
そう書いて先生に見せた。
「いいから遠慮すんな!足をケガした生徒を1人で帰らすわけにはいかないの」
先生が私の頭をポンとした。
「ほれ」
先生が私に背中を見せてしゃがんだ。
えっ……。
戸惑う私。
「早く乗れって!」
先生がこっちに向いて笑顔で言った。